塗装研究レポート【屋根編】 第1回のテーマは、「屋根カバー工法」についてです。
屋根リフォームには様々な方法があります。
屋根の材質や傷み具合、お客様のご予算、またリフォーム後どのくらいの期間住み続けるか等によってもその選択方法は変わります。
今回は、屋根リフォームのなかでも、近年一般の方々にも広く知られるようになってきた「屋根カバー工法」についてのメリット・デメリット、そして主な屋根材の特徴などについて解説いたします。
屋根カバー工法とは
既存の屋根材の上に防水シートを敷き、その上に新しい屋根を覆うという方法がカバー工法です。
その名の通り、屋根を屋根でカバーするということです。屋根を重ねて二重葺くことになるので、「重ね葺き」という呼ばれ方もします。
屋根カバー工法の工程
- 既存の屋根全体に新しい防水シートを敷きます。
- その防水シートの上を、新しい屋根材でカバー設置します。
- 棟板金などの水切り金具を取り付けて完了します。
屋根カバー工法で施工できる屋根材
現在、日本の住宅に使用されている屋根材は大きく4つのカテゴリーに分かれます。
スレート系(コロニアル)
一般的にはコロニアル・カラーベストと呼ばれ、安価で軽量(瓦の1/5)の屋根材が多くあります。
金属系(ガルバリウム鋼板)
代表的な屋根材としてガルバリウム鋼板があり、他にもアルミ、ステンレス、チタニウムなど様々な種類があります。
粘土系(和瓦・洋瓦)
昔からある、粘土を焼いて仕上げる瓦。最もポピュラーな屋根材。
セメント系(モニエル…コンクリート瓦)
主にカラーベスト系やモニエル系と呼ばれるもので、防音性に優れているのが特長です。
このうち、屋根カバー工法ができる既存屋根材は、「スレート系」と「金属系」のみです。ただし、平らでない屋根は施工には不向きなのでご注意ください。
『2014年総研リポート』における「個人住宅の新築工事の屋根仕上げ材の使用割合」では
1位が ガルバリウム鋼板系… 30.4%
2位が カラーベスト・スレート系… 26.5% となっており、
今後、日本の個人住宅の約56.9%が、屋根カバー工法でのリフォームを必要とするであろうと考えられます。
屋根カバー工法のメリット・デメリット
メリット
- 葺き替えに比べ費用が安い : 既存屋根の撤去処分が無いので、工事費用の節約が可能
- 重ね葺きにより断熱・防音性・防水性が向上 : 新設した屋根材の厚さに加え、既存の屋根材の厚さが雨の侵入や雨音などを防ぐ
- 工期が短い : 既存屋根材の撤去・養生などが無いため、葺き替えの約半分の工期で施工できる
デメリット
- 屋根の重量が増える : カバー工法は既存の屋根の上にもう1枚屋根を設置することになるので、耐震性の面ではやや不利になる
- 下地材の傷み具合が把握しづらくなる : 雨漏りで下地材が腐っていた場合、下地の補修ができずそのままになる可能性がある
- 今後雨漏りが発生した際に原因特定がしづらくなる : 屋根の構造が二重になるため、万が一雨漏りが発生した場合は原因特定がより困難になる可能性がある
以上が、屋根カバー工法の主なメリット・デメリットになります。