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無機塗料について

塗装研究レポート【外壁編】 第7回のテーマは、「無機塗料」についてです。
高耐候性塗料として取り上げられるものの一つに「無機塗料」があります。
一般的によく知られる耐候性塗料として「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」塗料などがありますが、「無機塗料」はそれらを凌ぐ耐候性が期待でき、ライフサイクルコストを抑えることができます。
今回は、「無機塗料」の特性やメリット・デメリット、有機塗料との違いをリポートいたします。

まずは「有機」と「無機」の違いをおさらい

有機物とは

炭素を主な成分として、生物体を構成・組織する物質のこと
燃やすと水と二酸化炭素が発生するもの

無機物とは

有機物を除いたすべての物質のこと
金属・水素・酸素・窒素などの各種の元素および塩類・水などのこと

無機塗料とは…

一般的にもよく知られるアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素など人工的につくられた有機物である合成樹脂をメインに使用したものが「有機塗料」と呼ばれます。対して「無機塗料」とは、塗料を構成する成分が有機樹脂メインではなく、鉱物(ケイ素やセラミック)を主成分としている塗料のことを指します。無機分子は結びつきが強く高硬度の塗膜を形成するため、約20年の耐久性を実現し、費用対効果も高く最新技術の塗料です。

無機塗料のメリットとデメリット

メリット

1. 耐候性が高い

科学的に安定した無機質ポリマーを主成分としているため、フッ素塗料を上回る高い耐久性を得ることができます。雨や紫外線などに高い耐候性を発揮するので、外壁表面を長期間に渡って保護することができます。

2. 不燃性である

有機塗料と違い、主成分が炭素を含まない無機成分で構成されているため、比較すると燃えづらいという利点があります。この不燃性によって災害時の二次災害発生の確率を低くすることが期待できます。

3. 汚れにくい

塗料成分の構成上、有機物を栄養分とするカビやコケの発生を抑えることができます。それに加え、無機成分が親水性塗膜を形成するので静電気による汚れの付着を防ぎ、塗膜が雨水と馴染むことで汚れを浮かし洗い流します。
※親水性とは、水滴をはじく撥水性と逆の現象で、表面に水がなじみ、水滴にならずに水膜ができる現象です。撥水性では発生する静電気により汚れを呼び寄せてしまいますが、親水性塗膜は汚れをセルフクリーニング効果により洗い流します。

デメリット

1. ひび割れに弱い

無機塗料の特長である硬い塗膜は、有機塗料に比べ柔軟性に欠けるというデメリットがあります。建物の外壁表面にひびが入った場合には、無機塗料特有の硬い塗膜もひび割れを起こしてしまうことがあります。

2. 他の塗料より価格が高い

無機塗料は、塗料の中でも耐候性や機能性が高いので塗料価格が比較的高額になります。

3. 艶無しの設定が無い

三分艶・五分艶などの艶調整したものに比べて、艶調整しない方が、塗膜の耐久性があるとされています。なぜなら塗料成分中の樹脂に艶を消すための添加剤を入れるためです。艶を調整した塗料は汚れやすく、艶有り塗料に比べ耐久性が若干落ちてしまいます。

オリバーイメージキャラクター 池端忍

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