ラジカル反応制御型塗料について
塗装研究レポート【その他】 第4回のテーマは、「ラジカル反応制御型塗料」についてです。
「ラジカル反応制御型塗料」は、今注目度が上がっている最新技術の外壁・屋根塗料です。高機能でありながら、新しい塗料であるため認知度が低く、扱っている業者もまだ少ないのが現状です。
今回は、「ラジカル反応制御型塗料」の特徴についてまとめてみました。
顔料劣化と樹脂劣化
ラジカル反応制御について説明する前に、まずは塗料の劣化の種類について触れておきましょう。
塗料を構成する上で欠かせない成分として顔料と樹脂があります。顔料は塗料の色味を決定するもので、樹脂は塗料の密着性に大きく関わるものです。そして、この2つは光を受けて劣化する性質があります。
今回のテーマである「ラジカル反応制御型塗料」というのは顔料劣化に対して働きかける技術なのです。
ラジカル反応による劣化とは
塗料の色味を決定するために欠かせない顔料ですが、白色の顔料の中に含まれる酸化チタンが今回のポイントとなります。
ラジカル反応とは、酸化チタンが光を受けて空気中の酸素や水と反応し「ラジカル」という劣化を促進する物質を発生させる事を言います。
ラジカルは、不安定な物質なので安定を求めて樹脂と結合しようと働きかけます。そうすると、塗料の中に元々あった結合構成が壊れてしまいます。外壁に塗布した塗料は毎日太陽の光を受け、長期間に渡り塗膜に光が当たってしまうと、ラジカルが樹脂の方にも劣化を進行させ、塗膜を破壊してしまうのです。
ラジカル反応制御型塗料とは
その「ラジカル」反応を抑制するために開発されたのが、ラジカル反応制御技術です。
ラジカル反応制御型塗料とは、顔料の表面に特別な加工を施し、酸化チタンからラジカル物質が発生しないようにした塗料の事です。ラジカル反応を抑制し、顔料から樹脂への働きかけを進行させないことで、塗膜の劣化を防ぎ外壁の保護性能を向上させるというのがラジカル反応制御型塗料の仕組みです。
ラジカルバリアーとは
通常の酸化チタンと違い、高耐候酸化チタンが持つラジカルを閉じ込める能力のことをいいます。
ラジカル反応制御型塗料は、ラジカルバリアーによって樹脂の分解を抑え、劣化しにくい塗膜を保ち、酸化チタンの光触媒反応によって起こるチョーキング現象を抑制することで長期間美観を保ちます。
※チョーキング現象とは、塗装を行って5~10年以上経過した外壁に触れた際、手にチョークの粉のようなものが付着することをいいます。チョーキング現象は、外壁の代表的な劣化現象の一つです。
顔料とラジカル反応の関係性
ラジカル反応には塗料の白色顔料に含まれる酸化チタンが大きく関わってきます。厳密に言えば、白色顔料の少ない濃い緑色や紺色などではラジカル反応は発生しにくいということになります。しかし、このような濃い色味の塗料は、褪色しやすい傾向にあり白色顔料を含む色味の塗料に比べ美観の安定性という点ではどうしても劣ります。上の図のようにするとわかりやすいですね。
劣化の原因は顔料が起因のものだけではありませんので、塗料のカラーを選定する際には、色味の特色について認知しておくと良いでしょう。
ラジカル反応制御型塗料まとめ
レポートの冒頭でも触れているようにラジカル反応制御型塗料が登場してまだ年数が浅いこともあり、広くは知られていません。しかし、チョーキング現象抑制効果や高い耐候性を有し、様々な下地にも幅広く塗装でき、更にコストパフォーマンスにも優れているなど、メリットが多く注目すべき塗料です。
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